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マラソンの楽しみ方

投稿日時:2006/08/29(火) 10:03rss

ホノルルマラソン

1993年、1本の電話が鳴った。

高校時代の同級生からの誘いであった。

「ホノルルマラソン、走らへん? 6名一組でエントリーで2人足らんねん」

この電話が私の人生を少し変える出来事となったのは間違いない。


ミーハーな気持ちと何でも知っておきたいとする若い時の単なる好奇心だけで
走ることを決意したホノルルマラソン!

「走ることは何より嫌いで苦手です。」 

「走って何がおもろいねん?」


 よく質問されます。 

「ホノルルには興味あるけどなあ・・・。」


 なるほど。

私を42.195kmを完走させたのは5つの感動が支えにあるのです・・・。

そのドラマを長くなりますが書きつづっておこうと思います・・・。




誘ってくれた女の子はクラスメイトだが、それほど親しくもなかった。
私に声を掛ければ行くって言うよってな理由で矢が向いたらしい・・・。
一緒に行こうとしている女の子も顔は知っているがその子とも口を聞いたことが無い。

さらにエントリーされている男の二人は彼女の大学の知り合いとかで知るよしもない・・・。

私は仲間が誰であろうとその場を楽しむことに重点をおけるタイプだったので
二言返事でOKをした。 残り1名も探す任務を与えられた・・・。

サラリーマン時代にホノルルマラソンを愛する社長の下で仕事をしていたのも何かの縁であろう。
全体会議でもお話をされる社長であったので、その当時の心友に声を掛けるのが
ベストであるとともにこいつと走りたい!  という気持ちが強かった。

「明日までにエントリーが出来ないと5名の夢が台無しになる・・・」

そんな脅迫めいた電話をしたのも鮮明に覚えている・・・。

「はよ、その子に電話したり、わしがその夢、乗るわ!」 彼の名前は泰輔。


6名の夢は浮いた気持ちで初マラソンへ向かっていた。
しかし、練習をすることもほぼ無かった・・・。
でもなんでか、完走は出来る気持ちで6名はいた・・・。
ホノルルマラソン当日までは・・・。


マラソンも初めてだったがホノルルも初めての6名だった。
街全体がクリスマスに飾られ開放的な雰囲気に酔いしれて、
ここは日本ちゃうの?っと錯覚するほど、日本語が飛び交う街で
前夜を過ごした。


朝、5時・・・。 夜明け前のスタート地点には芸能人も社長さんの姿もあった。 


これから始まるドラマに胸ふくらませ、完全にお祭りを楽しんでいた。


最前列でピストルが鳴り、花火が打ち上がる! 大きな拍手の中、
ランナーがスタートする。

5時間あたりのタイム申請の位置にいた私たちがスタートするには5分ほど
かかった。 それだけのエントリーの多い大会なのだ。

前にはバニーガールの格好をしたお姉ちゃん。
阪神タイガースの法被にふんどしに下駄を履いたお兄ちゃん。
女装をする集団に、ウェディングドレスとタキシードにゼッケンつけて
足はスニーカーのゴールが挙式のカップル。

走ろうと思うからあかんねん・・・。

 そんなメッセージが彼らからズシンっと伝わった。

それまでは私は堅い人間で、スポーツを侮辱するとか、鍛錬があって感動があるとか、走ることがマラソンだと決めつけがあった。

あっ。ここは違う。
それぞれの目的や楽しみ方は自由であり、それを参加せずにもしくは経験せずに意見を言うのは違うでないか?
ということを学んだ。
これは生きていく中で自分の意見を押して発することへのブレーキをかける今の自分にすごく役に立っている。 バニーちゃんのお尻の情景を思い出しながら。


ダイヤモンドヘッドの近くまで来るとやがて朝陽が水面より顔を出す。
なんと鮮やかな太陽であることか!
この自然に囲まれて身体を動かせることに喜びを感じる。
さらにスコールの中、走っていると虹の向こうにさらに虹!そしてさらに虹!
景色が20kmまでは感動しているうちに連れて行ってくれた。

そこから次なる試練がやってくる。
腹が減ってくるのだ・・・。
当時はゼリー食など普通で無かったので携帯していなかった。

そこへケンタッキーのおっちゃんかと思えたひげ面の外国人が
ボランティアでバナナを配っていた。
それも1本でなく大きな手で半分にしてランナーに配給してくれていた。

あああっ。うまかったね~。 忘れられないうまさだった。
バナナがこんなにうまいなんて。 
今まででこれ以上、うまいと思った食べ物は無い!
言うまでもないがここで食の感謝の気持ちを学ぶのだ!

その後にワセリンを配るボランティアのおっちゃんが続き、私と同様、ハチミツと思い、なめる初マラソンランナーは多いのでご用心だ(笑)

いつしか6名一緒に走っていた仲間は自分のペースとなっていき、ふと疲れが
自分の脳裏をかすめる瞬間が来る。

「あれ? 足が痛い・・・。」

周囲には歩き出し止まってはストレッチをするランナーが増える。

「自分も少し、歩こうか? いや、走って完走するんや!」
の闘いが始まる。

歩く自分の意志が勝ち歩き出すと次の走りだすことがこんなに身体が重いのかと
いうことを体験させられる・・・。
動かない・・・。 激痛が走る。 

「えっ。まだ半分来てないのちゃうの?」
「ゴール出来ないんか?俺は・・・?」 

そんな事を考えていると横を小錦や曙なみの巨体で私を抜いていくランナーがいる。

片足が無いランナーが私を抜いていく・・・。

老若男女問わず誰にも平等に与えられた42.195kmなんだ・・・

平等の本当の意味を知る瞬間であった。

涙が出た。 五体満足に産んでくれた両親を思い出した。
おかんの分まで走る!と思い走り出した。

折り返し地点から私の後ろを走っていた泰輔を探しながら、すれ違う時に
声を掛けてやろうと思っていた。 折り返しまでさらにあることを教えてやろうと思っていた・・・。

「ゲン! GOOD JOB! 気張れ」 どこからとなく泰輔の声が先に
聞こえてきた!

先に私を見つけた泰輔はもう足を引きづって歩いていた・・・。

5kmは後ろを走る泰輔が折り返しまでのさらなる距離があることも知らず、
私を応援してくれたいた。

「はよ、その子に電話したり、わしがその夢、乗るわ!」 と電話で話した時を思い出した。
その時の泰輔のバックボーンも知らず、強引に誘った自分を責めた。
こいつは本当に参加しようと思ってくれてたんやろか・・・。
忙しい仕事の毎日を送っていたことも知っていた。
練習も出来なかったことも・・・。

なのに泰輔は心から応援してくれている・・・。足を引きづりながら・・・。

こいつとは一生、友達や!そう思った。


沿道には現地の方が声援をしてくれる!
エイドステーションを中心に様々なボランティアがいろんな形でマラソンに参加している。
様々な形でだ! 走るだけがホノルルマラソンじゃないんだ!


ゴール間近。

Smile!のアーケードが見えてくる! ゴールはみんな笑顔だ!!

そう笑うんや! 笑ってゴールや!

痛い身体も最後の力を振り絞り走らせてくれる!

Smile!がゴールだと思うとその先に今度はゴールのアーケードが見える・・・。

騙された・・・。 誰に? 

しかし、走り出した私を歩かせる雰囲気はゴール前には無い!

沿道全ての拍手喝采の選手をたたえる声援が残りの距離を進ませてくれる!
自分の精神力を鍛える最後のRUNなのだ!

ゴールの向こうに霧のシャワーが待っていてくれた。
その中に入ると自然と己の42.195kmを振り返り涙が止まらない・・・。
それぞれのタイムにはその人だけの素敵な時間がある。
遅くても迎え入れてくれるのがホノルルだ。


ありがとう・・・。


参加を促してくれた彼女とは今も大の親友である。
翌年、泰輔とは2回目のホノルルマラソンに参加する。
2回目は泰輔の方が先にゴールした。
感動した気持ちを伝えたら一緒に母と妹といとこの叔母も参加した
年になった。 母は8時間かけて歩いて完走した・・・。

40歳になったら妻と走りたいと夢を持つ・・・。
あの時のような若さだけで走れないので経験がやはり必要だとつくづく思う。

妻とゴールで何を思いそして妻は何を思うのだろう・・・。

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